2006年、当時のヨーロッパチャンピオンであったアレキサンダー・ビアモンティ(フランス)を圧倒、一気に世界チャンピオンに輝き、その後も類い稀なスター性で競技空手を牽引した選手がいる。アゼルバイジャンのラファエル・アガイエフ選手だ。
2008年の東京で行われた世界選手権では、無差別級と-70KG級で2冠を達成。日本の空手界に大きな衝撃を与えた。
また松久功選手との最新テクニックを駆使し合う名勝負は記憶に新しい。
その輝かしい戦績は競技空手界の金字塔となり、まさにレジェンドと呼ぶにふさわしい選手。
2006年の衝撃的な世界デビューから丁度10年が経ち、ついにそのアガイエフに完全勝利する選手が我らが日本から今回現れた。
近畿大学3年生の西村拳選手だ。
優勝した瞬間に緊張の糸が解れた
この日のアガイエフ選手の動きは決して悪い組手では無い。30歳となったベテラン選手らしい、コートを大きく使ったフットワークや短距離での間合いの駆け引きなど、巧みな戦いを見せたが、西村選手の集中力と勢いが勝った。中段蹴りと裏回しに対する投げからの突きで5-0と圧倒した。
今までアガイエフ選手が負ける試合も何試合も見てきたが、5ポイントも差をつけた試合は未だかつて無かっただろう。
中段蹴りが決まった瞬間、会場中が一気に沸騰し、投げが決まった時は大声援が起こった。
ヒリヒリするほどの緊張感の中、世界が待ち望んだニュースター誕生の瞬間がついに訪れた。
なお、-84kg級の荒賀龍太郎は文句無しの優勝。もはや無敵にさえ見える。
また、+68kg級の川村菜摘は植草歩との大接戦となった決勝を2-1で勝利をもぎ取った。
【日本人選手の大会結果】
男子-75kg級 西村拳優勝
男子-84kg級 荒賀龍太郎優勝
女子+68kg級 川村菜摘優勝
女子-50kg級 多田野彩香準優勝
女子+68kg級 植草歩準優勝
女子-55kg級 山田沙羅3位
女子-61kg級 染谷真有美位
男子個人形 新馬場一世3位
男子-67kg級 篠原浩人3位決定戦敗退
女子-68kg級 染谷香予 2回戦敗退
男子-67kg級 五明宏人 初戦敗退
男子+84kg急 香川幸允 初戦敗退